プロジェクト完了後の前向きな反省は、その後の取り組みに大きく寄与すると言われています。経験に依存することが多い見積もり作成は特に顕著です。作成に際しては、主要な必須資料もさることながら、案外見落としがちなのが作業開始後のメールや打ち合わせの記録など。これらに案外原因が潜んでいるものです。詳細見積もり提出前後や追加見積もり発生時の発注者とのやり取りの前後、請求書提出前後など特に要注意。Web制作といったプロジェクトではメンバー間の親密度や短期間といった要素も加わり、日常的なメールや打ち合わせでスコープなどが容易に変化していく可能性を秘めています。これらのメモ類を見直すことで、いつどこでその狂いが生じたか原因を探り対処法を共有できれば、次回以降でその効果は歴然でより一層完成後の高い仕事を成し遂げられる体制作りが出来上がっていくことでしょう。
コミュニケーションが成功のカギ
プロジェクトマネジメントのPMBOKでは、コミュニケーション計画としてプロジェクト遂行に必要となる情報共有による各プロセスの円滑実施に関わるに内容がうたわれています。実際Web制作のようなプロジェクトでは、このコミュニケーションに費やされる時間はばかになりません。それも当然で、一人で行う作業は稀で複数人による協調作業が大半で、各メンバーとの意思疎通は必要不可欠と言っていいでしょう。コミュニケーションと一口で言っても、特に重要とされるのが発注者から求められている与件とスコープを各メンバーに周知徹底することであり、そのために疑問に思ったときに都度確認のため質疑応答を行うとか、周りに自分の進捗を知らしめるために報告するなどの習慣付けが大切です。
コミュニケーションがもつ三つの機能
コミュニケーションについて、プロジェクト管理という観点から曖昧さを避けるためPMBOKでは3種類の機能がうたわれています。その一つが「情報配布」とよばれるもので、その中心となるのが適切なタイミングと必要な情報を提供するということです。二つ目としては、ステークホルダーに対しての期待をどう管理していくか、ということです。具体的には、関係する人たちの要求を受け止め、作業の各過程で発生する課題を検討し解決していくことでプロジェクトの順調な流れを阻害する要因をタイムリーに除去していくこととされています。三つ目が、必要かつ適正な実績の報告とされ、この報告には進捗報告あり、費やしたコストや出来栄えに対する報告などが該当します。
広範なコミュニケーション計画書
Web制作などのプロジェクトでは、コミュニケーションは重要な管理対象となります。プロジェクトマネジメントの指針で知られるPMBOKでもコミュニケーション計画の必要性が説かれ、しかもその作成は早期に、とされています。というのは、コミュニケーションの主たる目的が情報共有であり、その後のあらゆる関係者間の打ち合わせや相談などすべて対象となるものだからです。発注者からの提案依頼を受けた時点で計画が作成され実行に移されると解釈されています。しかもそのカバーする範囲は発注者やステークホルダーにとどまらず連絡手段からその授受内容に至るまでと広範囲に及ぶものとなります。計画書記載項目も詳細を極め、関係するドキュメント類にも及ぶものとされています。